緑内障とは目から入ってきた情報を脳へ伝える視神経が障害を受けて視野(見える範囲)が狭くなってしまう病気です。
眼圧が高くなる原因によって上記のように分類されます。
目の中には血液の代わりに房水と呼ばれる液体が流れています。房水は毛様体で作られ、シュレム管から排出されます。この房水の流れの圧力(眼圧)で目の形を保っています。正常範囲は10-20mmHGです。
眼圧が高くなると視神経が圧迫され障害されてしまいますが、眼圧が正常範囲でも視神経が弱いと視野が欠けてきてしまいます。日本人の緑内障の多くは正常眼圧緑内障です。
目のケガや目の病気で眼圧が上がることもあり、目薬だけでなく体の病気で使う薬で眼圧が上がることもあります。
年齢が上がるとともに増加し、近視が強い方、家族に緑内障の方がいる方もかかりやすいといわれています。
緑内障は自覚症状が少なく、知らないうちに病状が進んでいることが多いです。視神経の障害はゆっくり起こり、見える範囲(視野)も少しづつ欠けてくるためご自分で気が付いた時にはかなり進行してしまっています。いったん障害されてしまうと回復させることができません。
できるだけ早期に発見し、治療を開始しして緑内障の進行を抑えることが大切です。
目に測定器具を当てて測定する方法と空気を当てて測定する方法があります。
測定時間、気温、体調などによって変動しますが緑内障治療開始後も定期的に測る大切な検査です。
視野検査とは、視神経が弱くなり狭くなっている視野の範囲、感度の低下の範囲を測る検査です。緑内障の病期の診断や進行の判定に重要な検査で、治療開始後も定期的に視野検査を行い、悪化していないか、悪化が早くないかを確認いたします。
眼底検査では、視神経の状態を見ます。視神経の障害度を測定し、主に緑内障の病期を調べます。正常眼圧緑内障の場合、眼底検査により緑内障を発見することも少なくなくありません。
コンピュータ眼底3次元画像解析装置を用いて視神経のくぼみの状態、網膜神経線維層の厚みを測定して、診断の補助に使用します。
緑内障の治療は眼圧をできるだけ低くコントロールし、病気の進行を抑え視力や視野を維持していくことが目標となります。狭くなった視野を戻したり、緑内障を治すものではありません。
薬物治療、レーザー治療、手術治療があります。
眼圧を下げるために使われる目薬には房水の産生量を抑える作用のある目薬、房水の排出(流れ)をよくする作用のある目薬があります。初めは1種類の目薬で様子を見て、眼圧の下がりが悪かったり、視野が進行したりする場合は変更したり、2-3種類の目薬を併用して治療します。目薬の付け忘れは緑内障を悪化、進行させる大きな要因となるため、毎日欠かさずにつけるようにしてください。
急性の緑内障発作では急激に眼圧が上がり、目の痛み、頭痛、吐き気などの強い症状を起こします。すぐに眼圧を下げる必要があるため、飲み薬を使ったり点滴治療を行い、さらに眼圧コントロールが不良の場合はレーザー処置や手術を行います。
目薬の治療で眼圧を下げることが難しいかたにレーザー治療を実施することがあります。緑内障種類に合わせて2つの方法があります。
線維柱帯が詰まることで眼圧が上昇する、原発開放隅角緑内障などの患者さんが対象で、線維柱帯にレーザーを照射することで房水の排出を促し(流れを良くし)産生を抑制する治療法です。
隅角が閉塞することで眼圧が上昇する原発閉塞隅角緑内障などの患者さんが対象で、虹彩にレーザーで穴を開け隅角の閉塞を解消する(流れをよくする)治療法です。
当院にはレーザー装置がないため必要な方は連携施設で受けられるよう迅速に手配いたします。
薬物療法やレーザー治療で症状の改善が期待できない、または効果が少なく眼圧を十分に下げることができなかった場合、手術の適応となります。
原発開放隅角緑内障の患者さんに対しては、房水が血管に流れ出るときに抵抗を起こしている部分を切開して流れを良くする流出路再建術を行います。
原発閉塞隅角緑内障の患者さんに対しては虹彩を切開する虹彩切開術や、白内障がある場合は水晶体再建術などが行われます。
いずれも手術治療が必要と判断した場合、信頼できる連携病院で受けられるよう手配いたします。